韮沢靖


影姫「光姫、こっちきなさい。」
光姫「なんですの?オネエ。・・・」
影姫「あら。なにを警戒してるのかしら?ハムスターみたいに縮こまって。」
光姫「また。。。変な話題じゃないでしょうね?・・・オネエ。」
影姫「『変な話題』とは心外ね。ところで貴方、フィギュアはお好きかしら?」
光姫「あ!大好きです!(突然明るい顔になる)フルタからでた『うる星やつら
や『犬夜叉』のフィギュアは全部持ってます!!」
影姫「わたしはこの人のフィギュアに最近興味深々なんだけど。」
(と『デビルマン リスト』を差し出す。)
光姫「いかにもオネエらしいご趣味ですね。」
影姫「あら?どういう意味かしら?まあそんなことはどうでもいいわ。
わたしがこの「韮沢靖」というひとのフィギュアを見たのはもう5〜6年前
ですね。その頃、井上雅彦が編集した『異形コレクション』という文庫本のシリーズ
があってその第二巻『侵略』のカバーに韮沢氏のフィギュアを見たのが始めてですね。」
光姫「あの『マジンガーZ』の敵幹部「アシュラ男爵」みたいなやつですね。」
影姫「「アシュラ男爵」とは韮沢さんが可哀相よ。「21世紀のアンドロギュノス」
そう呼んだほうがいいんじゃなくて?わたしも一回ぐらいはあんな姿になってみたいわ。」
光姫「オネエ。また話が妖しい方向に・・・」
影姫「子供はこれだから嫌ですね。」
光姫「誰が子供ですの?」
影姫「そんなことより、韮沢さんのフィギュアの特徴はなんだと思います?光姫。」
光姫「なんとなくこう「ロックぽい」というか、そんな感じです。」
影姫「光姫。貴方意外と鋭いわね。韮沢さんは雑誌のインタビューで『アンダーグラウンド
なロックのイメージでフィギュアを造っている」と答えているわ。」
光姫「アンダーグラウンドなロックといえばオネエの好きな『マリス・ミゼル』ですか?」
影姫「ちょっと違うわね。韮沢さんのフィギュアのイメージは『マリス・ミゼル』より
黒夢(現在「SADS」)』のイメージね。」
光姫「『黒夢』といえば「清春」というひとがボーカルやっているバンドですか?」
影姫「そのとおりですね。加納典明が撮影した『ナイフ』(清春写真集)(竹書房
を貴方はみたことがあるのかしら。」
光姫「その本ならブックオフによく置いてあるからみたことがあります。なんというか
若い男性の骨ばった身体が印象に残っています。」
影姫「『骨ばった身体』とは清春さんが可哀相ですよ。男性的な凹凸に富んだ、しかし
決して『マッチョ』ではない、美しさとでも形容したらいいのかしら?」
光姫「そこら辺のことはオネエのご専門でありましょうから。」
影姫「つまり『マリス・ミゼル』が「ゴシック・ロリータ」だとしたら『黒夢
は「ゴシック・パンク」と言ってもいいですね。「ゴシック・ロリータ」は女性的・
華麗、「ゴシック・パンク」は男性的・攻撃的、といえば的を射ているかしら。」
光姫「そういうことになりそうですね。」
影姫「韮沢さんのフィギュアからはこの「ゴシック・パンク」なイメージが横溢して
いますね。「デビルマン」(不動明)や「サタン」(飛鳥了)の造形を見ても今までの
フィギュアとは全く違うなにか危険なニュアンスが感じられます。」
光姫「「危険なニュアンス」とはまたオネエ好みのニュアンスですね。」
影姫「子供は黙ってらっしゃい。そんなことより、韮沢さんのフィギュア欲しいんだけど。
ほら、この「ギロチーナ」とか素敵だと思わない?」
光姫「古本の他にもフィギュアのコレクションですか?館長様にいつも厳しいことを
言っているオネエ、いいんですの?黒猫館の財政をこれ以上厳しくして?」
影姫「う・・・う・・・子供は・・・・」
光姫「なんですの?」
影姫「黙ってなくてもいいわ。・・・」
とうなだれる影姫。それを厳しい目つきで見下している光姫。」
というわけで〜。
韮沢靖作品集『デビルマン リスト』のレヴューでした〜〜。